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脳の発達段階に人工物質が影響すると、脳の神経細胞が長生きする性質にも違いが出てくる

神経細胞がシナプスを介して多数つながっている「神経回路」が、認知、記憶、行動の基本となる。
脳の機能発達は、先天的な本能部分と、生まれてから育っていく時の外からの刺激、経験(後天的)による神経回路の発達によるが、ことにヒトの場合、後者の役割は非常に大きい。
特に胎児期、乳児期に、人工物質による後天的影響によって脳の遺伝子発現がおかしくなると、生殖系、脳神経系、免疫系などにさまざまな障害が起こる可能性が高い。更には、脳の神経細胞が長生きする性質にも違いが出てくると考えられている。

『化学物質の影響 ~脳の発達と化学物質-子どもの脳が危ない~黒田洋一郎(東京都神経科学総合研究所) 記念講演会』リンクより引用
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文科省の2002年のアンケート調査では、全学童の6.3%(17人に1人)が軽度発達障害ではないかという結果が出ています。 これはひじょうに多い割合で、その上増えてきています。
アメリカでは、ADHDの子どもが1970年代から増えていて、ADHDだけで6~10%いると言われています。
<中略>
環境ホルモンなどによって性ホルモンに異常が起これば、子育て障害となって表れるだろうと思います。
もっと気にるのは、若年性痴ほうの増加です。
アルツハイマー病の研究の中で、1980年頃から50歳代で発症した患者を全国から探しましたが、とても少なかったのです。 ところが、今、40歳代からの発症者も含めてかなり増えています。 神経細胞はほとんど生まれ変わりません。 胎児期、乳児期に脳に障害が起きて遺伝子の発現がおかしくなると、神経細胞が長生きする性質にも違いが出てくると考えられます。
  
■環境化学物質のヒトへの影響
脳機能発達への環境化学物質の影響について、それは動物実験段階での研究で人間には当てはまらないという指摘がよくされますが、ヒトへの影響についても研究結果が出ています。
PCBについては、台湾の油症事件の研究で知能(IQ)低下、一部に多動、ミシガン湖汚染魚では知能低下など、スロバキアPCB製造工場汚染(これは最近のデータ)では周辺の子ども達に多動、学習障害が報告されています。 ビスフェノールAについては、ヒトへの曝露データではっきりしたものがありませんが、ラットについては探索行動、学習機能の性差の消失、学習障害、グルーミング増加(オス8週齢のみ)、子育て行動に異常がみらました。鉛のヒトへの学習障害、過剰興奮、攻撃性の影響、有機水銀と胎児性水俣病は明らかです。

■脳の発達障害の原因がわかった例
脳の発達障害の原因がはっきりとわかった有名な例は、アルプスの谷の発達障害として有名な重い精神遅滞を伴うクレチン症です。原因不明だった時には遺伝説がささやかれました。1950年代になって、このクレチン症の原因は、環境中のヨード゙が欠乏し、ヨードを成分とする甲状腺ホルモンが母体、胎児に不足し、子どもの脳の機能発達に障害が起こったためと判りました。 遺伝子が正常でも、環境中の化学物質の異常により発達障害が起こるという例です。 <中略>

■脳は遺伝子発現によって発達
脳は数多くの遺伝子の順序良い働き(遺伝子発現)によって発達、大きくなります。1,000億の神経細胞が樹上突起、軸索を出し、100兆個のシナプスで結合し無数の神経回路を形成します。脳の働きには神経回路の発達が重要なのです。
遺伝子は設計図であって、実際に働く必要があります。 遺伝子の働き(遺伝子発現)はホルモンなど数多くの化学物質(転写調節因子)で調節(オン・オフ)されています。ここがおかしくなると、遺伝子を読む最初の段階がおかしくなり、神経回路がうまくできなくなって発達障害などが起きると考えられます。
環境ホルモンが低用量で働く、逆U字曲線を示すというのは嘘ではないかと言われてました。しかし、ホルモンが働く部位(受容体)というのは、一つの細胞の中に1か所あるいは数か所しかないのです。そこに必要なホルモンはほんの微量でいい。だから、偽ホルモン(環境ホルモン)の量もほんの微量でいいのです。<中略>
  
■脳のしくみと発達
神経細胞がシナプスを介して多数つながっている「神経回路」が、認知、記憶、行動の基本です。脳の機能発達は、はじめに遺伝子の設計図で決められている部分(先天的。例えば母性本能など)と、生まれてから育っていく時の外からの刺激、経験(後天的)による神経回路の発達によりますが、ことにヒトの場合、後者の役割はひじょうに大きいです。
脳を輪切りにすると、表面には神経細胞がたくさん並んでいます。これを全部数えると1,000億あって、それぞれ樹上突起、軸索を出して100兆個のシナプスで結合し神経回路を形成しています。この神経回路があらゆる行動のもとです。
神経細胞から情報は電気信号の形で出てくるのですが、このつながり(シナプス)のところでは、化学物質(神経伝達物質)で情報を受け渡しているのです(右図)。

■化学物質が脳の情報を伝達 
脳の働きに対して化学物質が悪影響があるというのは、脳の働きの基本的な部分で、頭を使う時に何十種類という化学物質(正常な脳の働きに必要な物質で、グルタミン酸、ドーパミン、ギャバなど)が電気の情報を一度化学物質にかえて情報のやりとりをしているのです。ですから、もしグルタミン酸と似た人工の化学物質(正常ではない物質)が脳の中に入ってくると情報伝達がおかしくなってしまいます。
遺伝子組み換え作物で使っている除草剤は、神経伝達物質であるグルタミン酸、グリシンの有機リン化合物です(右図)。
脳の能力は無限で、原理的にはほとんど無限大に覚えることができます。しかし、それをつくり上げる遺伝子の発現や、脳を働かせている時に使っているのはすべて化学物質なので、能力的には無限大であるけれども化学物質には弱い面があります。特に、今まで脳の中に入ったことのない人工の化学物質には大変弱いのです。
このように、脳の本質的な所には化学物質が働いている、だから脳の中に似たような人工の化学物質が入ると悪いことが起こるということは、まだ一般的に知られていません。
<後略>



麻丘東出
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