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環境教育教材としての「原子力エネルギー問題」その2~環境学力、自然学力の必要

(252040)のつづきです。

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3 日本の原子力エネルギー環境教育における問題点と課題
日本における環境教育の内容は,多くが開発容認の持続可能環境教育,工業型循環社会政策に無批判,大量の生産・消費・廃棄が前提のリサイクル賛美,政府・業界のエネルギー政策容認の教育になっていて,日本の社会・環境を根本的に保全・再生する教育になっているとは言い難い.殆どが体制順応型になっているからである.その教育のこれまでの「成果」であろうか.

1)21世紀「環境の時代」の環境教育,環境の学力に求められているもの

地球環境危機のこの時代に,自然環境保全や自然環境共生とつながらない学力であったり,あるいは,自然の破壊・汚染を容認するような学習内容や方向性を持った学力の形成は,これからの環境共生時代を生きていく力とはなりえない.そして,少なくとも,現代の環境問題を地球市民の立場に立って主体的に考察し,実践し得る学力を保障する教育,学力形成観が今求められており,その視点を欠いた教育は時代錯誤とさえいえるのである.

さらに,現代日本の学校教育課程・教科書は,行政者と一部研究者で選定・作成され,実践教師は編成者から除かれる傾向がある.『学習指導要領』の内容においても諸々のタブー,例えば,環境政策の政官業癒着(原子力開発同政策への)批判タブー,環境諸法のザル法的側面(「容器包装リサイクル法」など)への批判タブー,業者の行政迎合的「環境アセスメント」の批判タブーなどがあり,これらからも脱する必要がある.

教育の在り方も同様である.ことに,環境破壊的な事業や開発,企業,行政および生活方法を容認してきた教科書,教育内容,教育論,教育実践は再検討の対象であり,環境共生的観点を入れないできた教育や環境破壊問題の本質や本質的解決にふれない疑似「環境教育」などは,至急に検討,改変される必要がある.原子力発電・原発事故・原子力行政の問題解明にふれない教育も同様である.

2)電力関連業界・団体の「エネルギー環境教育」

電力業界のエネルギー環境教育,文部科学省のエネルギー環境教育,教育現場のエネルギー環境教育の事例が示すように,殆ど国民を欺いての教育といわざるを得ない.

殊に,電力業界や文科省の「電源ベスト・ミックス」論の攻勢は問題である.電源ベスト・ミックス論は,原発の危険性を隠し,各種電源開発の中に原子力開発・原子力エネルギー必要論を巧妙に挿入し,「バランスのよい比率」という言葉で原子力エネルギー開発を将来に向かって位置づけるというトリック的,恣意的な方法によって,「電気エネルギー電源構成・開発における最良のあり方」として学ばせ,学習者の無批判的,容認的認識形成を狙いとする教育内容,方法といえる.その真の狙いは容認者の増加を利用した原子力発電政策・原発温存の企図である.洗脳に近いとも言える.

「電源ベスト・ミックス」論の特徴は,
①原発事故史の隠蔽,原発事故発生の危険度の隠蔽・歪曲(安全神話への固執),地震地帯上の危険度の隠蔽・軽視,プルサーマル技術の欠陥性・危険性の隠蔽

②化石燃料等資源枯渇論を利用した原発用燃料有利論の資源論上のすり替え

しかし,ウランは約80年分しかないことや,自然再生エネルギーの可能性の大きさや,実はコストは管理費・建設費・買収費・稼動率・揚水ダム併設費などトータルで決して安くないこと(それゆえ,説明では「発電時」とか「燃料部分(だけをみれば)」などと敢えて書いている),温排水や核廃棄物管理で膨大なCO2を出していることなどは隠されている,など欺瞞的な主張,論理,構想,教材であることは明らかである.

③地球温暖化防止対策有効論の誇大宣伝:各所で「発電時」の有利性.温室効果ガスを出さないというが,他の電源の何倍もの統制的関連施設,装置,管理活動,物質使用,膨大な送電設備,廃棄核燃料輸送および核物質半減期対応の貯蔵費(ウラン235:約7億年,ウラン238:約45億年),など他の電源では不要なモノ,コトを敢えて計算に入れていない巧妙さと詐欺的手法による「温暖化対策有利論」は見逃すことができない.学習者とともに解明する教材化・授業が必要になっている.

④「燃料サイクル(リサイクル)有用論,社会貢献論」の悪用:使用済み核燃料ウランのリサイクル論(プルサーマル計画・実践)では,処理反応時・輸送時・核廃棄物格納時の危険が隠されている.

⑤「原子力エネルギー推進問題」教育:エネルギー環境教育の推進と補助金攻勢:――発電化石燃料・エネルギー資源不足,枯渇,原発輸入国の協調強調から原子力エネルギーが必要と,結論付けさせる仕組みを仕掛けている.そこで,「省エネ」論の喧伝が行われる.大量生産・大量消費の産業社会システムを容認する電力業界の経営姿勢,環境破壊的企業経営姿勢,飽くなき利潤追求・商業主義のを続行し,その矛盾・弊害・要改革施策などにはふれられていない.

3)原発問題に関する教材化視点
―不可避的原発事故,危険な地震国立地,原発老朽化,安全神話崩壊,電源ベスト・ミックス論の虚構,核廃棄物の高毒性・高管理費,プルサ-マル事業の無謀,長期的広域的放射線被爆災害,国際的脱原発趨勢 地球温暖化対策対策有効論の欺瞞―

(1)原発事故の教材化 

(2)事故隠し・危険隠し(福島第1原発3号機(1978年から29年隠蔽)の「臨界事故」隠しなど)

(3)地震問題(地震,活断層=活性層問題)

(4)コスト問題

(5)技術 運転技術の人為的ミス,=未成熟性

(6)原発老朽化の問題

(7)核廃棄物の問題

(8)原発建設反対地域と住民世論,世界における原発廃止政策化国の状況:原発をやめた国々は,ドイツ,スウェーデン,ベルギー,オーストリア,スイス,イタリアなどがある

(9)プルサーマル計画の無謀性:プルトニウム毒性(死の灰特性),核燃料サイクル論および同施設の危険性

(10)安全神話の崩壊

【注】

10)日本「原子力共同体」とは,①文部科学省(旧は科学技術庁を含む)グループは,日本原子力研究所(2005年日本原子力研究機構)と動力炉・核燃料開発事業団(1998年核燃料サイクル機構,2005年日本原子力研究機構),理化学研究所と放射線医学総合研究所等と連携し,経済産業省(旧
通商産業省)は各電力業界と連携し,相互に対立しつつ原発のために共同体的に連携している.

11)電源ベストミックス論について:
電気事業連合会編・発行のパンフレット『電気事業の現状2003~2004』の「小学校5年生の実践:水力・火力・原子力の長所短所とベストミックス」

「電源のベストミックス」の学習教材としてビデオ「体験!電気ってナンだ?」(四国電力)

パンフレット「あかりちゃんのエネルギー講座」(四国電力)

パンフレット「エネルギーのこと電気のこといっしょに考えてみませんか」(四国電力)

エネルギー教育全国協議会の「調べ学習の教材・教え方―身近な副教材を活用したエネルギー・環境の授業」

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(転載おわり)

佐藤英幸
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