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海水の酸性化によって生態系が激変していく理由

珊瑚やその他の海洋生物の殻に含まれる炭酸カルシウムには、2つの異なる結晶形があり、1つがカルサイト(方解石)で、もう1つが、アラゴナイト(あられ石)である。 珊瑚が形成するアラゴナイトの方が、酸性化の影響を受けやすい。両者は、化学成分は同じなのだが、原子配列が異なり、カルサイトの方が安定している。

珊瑚などの炭酸カルシウムの溶解度は、基本的には炭酸イオン濃度に依存するが、間接的には、pH(水素イオン指数)に依存し、これは、水温や、圧力などにも影響される。

現在の海洋の酸性度は、海域によって異なるようだが、海洋表層よりも海洋深層で酸性度が高くなっている。深層にある冷たい水は、多くの海域で相当に酸性度が高く、すでに炭酸カルシウムの殻を溶かすほどだと言われているようだ。

深層水は、冷たく、圧力も高い。そのような、炭酸カルシウムの殻を溶かすほどの海水は、“未飽和”と言われるが、これは、炭酸カルシウムの溶解度が“未飽和”ということである。つまり、未飽和であるが故に、炭酸カルシウムが溶解し続けることを意味する。

一方、浅い所の、温かい表層水は、今のところアラゴナイトに対しても、カルサイトに対しても、“過飽和”の状態で、珊瑚などの海洋表層の炭酸カルシウムが溶け出すことはない。すなわち、生態系には、ほとんど影響がないと推測できる。

問題は、この“未飽和”と“過飽和”の境界線である“飽和深度”が、海洋の酸性化によって上昇する事によって、つまり“過飽和”の表層水の範囲が、急速に狭められる事によって、生態系が激変していくのである。

実際、アラゴナイトやカルサイトの“飽和深度”は、1800年代に比べて、その深度は約50~200mも浅くなったと言われているデータもあるようだ。

海洋酸性化の影響をうけるのは、極域や深層の生態系で、“冷たい海水”は、“温かい海水”に比べて、炭酸カルシウムの結晶に関してはもともと未飽和に近い。 特に、生産性の高い南極海の表層水で、この海域の翼足類(/プランクトン)は、この豊かな海の“食物連鎖”の底辺を支えている。この翼足類が炭酸カルシウムの殻を形成できなくなると、“食物連鎖”全体が大きな打撃を受けることになる。

匿名希望
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