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大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算 危険評価(1960年)

附録(A) 事故の種類と規模

原子炉には核分裂の結果生じた分裂生成物が内蔵されており、これが仮りになんらかの原因で大量に放散されるような事態にたち到ると原子炉敷地の周辺に対して大きな災害を及ぼすようになることはいうまでもない。(後略)

II 放散される分裂生成物の粗成
放射能を持つた燃料体を溶融させ、放散物を集めるという最近行われた一連の重要な実験の結果によれば、放散の割合は主として分裂生成物の蒸気圧によることが判明しており、その値は大体次の通りである。

希ガス 100%
沃度 50%
骨に集まる元素 1%
セシウム 10% (後略)

附録(B) 想定する原子炉設置点と周辺の状況(全略)

附録(C) 煙霧の拡散、沈下(全略)

附録(D) 放出放射能の人体及び土地使用に及ぼす影響

I はしがき
大型原子炉の大事故に際して、原子炉より放出された分裂生成物によつて、人体が蒙むる影響は非常に複雑な様相を呈するもので、これにより人体の受ける被爆を正確に評価することは非常に困難である。さらに放射性放出物が、土地・海水等を汚染し、これから何等かの food chain を通つて、人間が蒙むる影響をも附加して考慮しなければならないとすれば、その実態の把握と評価とはさらにきわめて困難なものとなる。

(中略)

しかしながら、この種の影響についてのより合理的な推定を行うことは、大事故より起りうる損害をより合理的に評価するために欠くべからざる要素の―つであるとともに、起りうべき損害を未然に防止するための基木となるべき資料の有力な手がかりを与える点から我々の推定は意味のある試みであると考えた。(後略)

1. 外部技曝
( External Exposure ) (1) コンテナーよりのγ線被曝
(2) 放射能雲よりのγ線被曝
(3) 土地・建物等に沈着した放射物よりのγ線被曝
(4) 身体表面に沈着した放出物より身体の受けるγ-β線被曝
(この内とくに皮膚の受けるβ線被曝が重要)
  
2. 内部技曝
( Internal Exposure )
(5) 放射性放出物の身体への侵入部位が蒙むる被曝
(i) 呼吸器よりの侵入では* 肺
(ii) 消化器よりの侵入では 消化器 
(6) 身体内に吸収された放出物による全身の受ける被曝
(7) 吸入摂取された放出物により、各 Critical Organ が受ける被曝
(8) 一度土地又は海水等に沈着した放出物が food chain を通じて、徐々に身体内に摂取されることにより、各 Critical Organ が受ける被曝

(中略)

注*  全身だけを計算すればそれですべてをつくしているように考えられやすいが、全身が受ける線量というものは他の臓器の受ける線量から見て必ずしも大きなものではなく、甲状腺、肺、骨などははるかに大きな蓄積線量を受ける。

III 身体の各部の受ける被曝線量

(中略)

7. 考察及び総括
以上身体各部の受ける線量として、

(1) 全身の受ける外部γ線被爆量
(2) 肺の受ける内部β線被曝量
(3) 消化器の受ける内部β線被曝量
(4) 甲状腺が I 混合物によつて受ける被曝量
(5) 吸収された放出物中の 11 種の Bone Seeker より骨が受ける被曝線量
(6) 摂取された放出物により、前4器官以外の主要な身体部分が受ける線量

を被曝後の色々な時間的段階において算出を試みた。

すでに述べた如く、身体全部が放射性放出物より蒙る被曝を単に上記の六つの部分の線量だけで代表させるということは、生物学的な評価の立場からは必ずしも妥当で合理的なものであるとはいえない。

しかし色々な未知の要素や労力を考え、一応これ等をもつて、身体が受ける代表的な被曝線量であると考えて、これにもとずいて起り得べき効果を評価することにした。(後略)

(表略)

以上の結果を見て気のつくことは、身体の各部の受ける線量は被爆よりの時間により大きく変化するが全身に対する線量は、大体最初の1日中に大部分を受けその後は微小な線量しか受けないが、肺はかなり長期間にわたつて線量を受けつづけ、大体 9~6ヵ月間位つづく。又甲状腺は1ヵ月間位の間にわたつて、線量を受けるが最初の1週間位が最も大量の線量を受けることになる。

これに対し骨は、はじめの1週間位は線量が少いが、その後次第に蓄積線量が大となり、1ヵ月後で約5倍、3ヵ月後で約10倍、1年では20倍以上となる。そして、その後も50年間にわたつてその数倍の線量を受けることになる。

以上の如く、全身各部の蓄積線量は時間と共に変化するばかりでなく、各部の受ける線量の比率も時間と共に著しく変化するのであるがら、これを―括して、加算をするというようなやり方では本当の生物学的な効果を評価することは出来ない。

(中略)

又全放出物による肺の線量が非常に大きくなつているが、これは放出物の半分は非溶解性で肺の内で体液にはほとんど溶解しないと仮定したからで、この仮定が修正されれば変るものであると考えられる。

又全身の受ける線量はγ線による外部被曝と放出物摂収による内部被曝が加算してある。

IV 身体の被る被曝線量より見た被曝濃度の安全限界の評価

(中略)

勿諭この区分は相対的なものであるから、各期の長さはどの位が適当であるかは確実な根拠はないが、ここに問題とされている災害においては、短期は一応、20時間以内(約1日)
中期は大体 1ヵ年以内
長期は骨のみについて問題があるので50年間とした。

(中略)

従つて、この結果から最も危険な場合は、揮発性放出物の粒度大なるものを事故後比較的短時間に受ける場合、及ぴ全放出物の粒度小なるものに被曝する場合であると考えられる。

(中略)

又揮発性放出物の場合は、事故後放射能雲が到達するまでの時間が安全限界を定めるのに大きく影響し、即ち炉よりの距離が遠くなればなるほどより安全な範囲がが速に拡がるが、全放出物の場合は。拡散によるうすまりの他はあまり期待が持てないことがわかる。

V 土地よりの立退基準及び住居制限(全略)

VI Pu239 による危害の評価(全略)

VII 人体の障害の評価(全略)

附録 (E) 放出放射能の農漁業への影響

VII 使用制限時間について

(中略)

d 以上のようなことがらから、各地域における制限期間を次のように想定して被害算定を行うことにした。

(中略)

制限期間
耕  地 10年以上
牧  場 10年以上
河  川 3ヶ月
湖  沼 1年
沿岸漁場 3ヶ月

-----------------------------------------------------------------

外部被曝、内部被曝、環境汚染による被曝、食物による被曝、食物連鎖による被曝などが試算されている。これからは土と肺、骨に蓄積するようだ。(地下水は試算では海に流れるので不明としている。)

50年前でさえこれくらいは出ていたのだから、50年後の今、安全安全と思考停止または宣伝をするのは、無能科学者であるだけではなく、国民の知的水準を過小評価し過ぎである。この試算は当時は学者しか読めなかったかもしれないが、現在では国民の過半は読めるのである。

福島原発事故において特別に追加試算しなければならないのは、データの正確性、資産価値、死亡に至らない健康被害と事故の長期化の影響などだと感じる。





佐藤英幸
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