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基礎知識の整理 ~「プルトニウムの恐怖」より~

福島原発事故に対して情報が飛び交い、数々の有益な知見が得られる中、正しい情報を積み重ねていく事こそが、事実の見極めに重要なポイントであると考えます。

原発の危険性に関する基礎知識を理解するために、「プルトニウムの恐怖」 著:高木仁三郎 をとりあげ、その内容の一部を以下に紹介します。

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◆プルトニウムの許容量
プルトニウムもまた、その許容量をめぐって歴史的に最も多くの論争があったもののひとつであった。1974年2月、アメリカのタンプリンとコクランが発表した「ホット・パーティクルの放射線基準」という論文は、俄然大きな論争を起こした。この論文の中で、ふたりは、プルトニウムの現行の肺に対する基準を11万5000分の1に引き下げるべきだと主張したのである。その通りになれば、プルトニウム利用計画だけでなく、現在の原子力計画はほとんど止まってしまう。しかも、この論文は学問的に重要な問題提起を含んでいたから、大きな反響を起こしたのは当然のことだった。

◆不均一被爆
彼らの提起は、プルトニウムのようなアルファ放射体の被爆の特殊性に関係していた。現行の肺に対する基準は、肺への許容線量を年間15レムとすることに基づいている。しかし、いま、直径1ミクロンほどの酸化プルトニウムの微粒子が肺に取り込まれた場合を考えると、この粒子からのアルファ線は、そのごく近くの0.1ミリグラムにも満たない部分を強く被爆させるが、その他の肺の部分は全く被爆させない。
ところが、現在の基準の考え方は、同じ被爆量でも肺が均一に、いわばうっすらと被爆を受けることを想定している。

◆食い違う基準の捉え方
タンプリンらの主張は、不均一被爆の方が、一部の組織に強い損傷を与え、「ガンのもと」をつくりやすいから、均一被爆よりはるかに危険だ、というものだった。その数量的評価で、11万5000分の1の引き下げ、という主張が生まれたのである。
この主張に対して、原子力計画を推し進める政府機関は、科学者たちを動員して、激しい反論を行なった。局部的に強い被爆はかえって細胞を殺し、ガンを発生させにくいとする理論や、若干の実験結果をもとに、タンプリンらの説を否定したのである。

◆プルトニウムの毒性の厳しさ
タンプリンらの主張は、その数値の妥当性に議論の余地はあるにしても、プルトニウムの微粒子(彼らはホット・パーティクル=熱い粒子と呼んだ)による不均一被爆という、新しい重要な問題を提起した。彼らの主張は、その1ミクロン以下ほどのホット・パーティクルの1個1個を規制の対象としなければならない、というにも等しい。このような論争が起こること自身、プルトニウムの毒性の厳しさを象徴するものだった。

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被爆の構造(不均一被爆という実態)を正しく捉えることで、少量の放射線でも、被爆がどれほど危険なものか理解できるように思います。



小熊耕平
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