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原発行政の裏側~学者集団と梅沢三兄弟の巨大な閨閥-3~

『腐蝕の連鎖―薬害と原発にひそむ人脈―』(広瀬 隆 著)~第4章 学者集団と梅沢三兄弟の巨大な閨閥~ よりの引用です。

以下引用
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「原発の梅澤邦臣と、カナマイシンの梅沢浜夫」の兄弟には、もうひとり長兄の梅沢純夫があった。彼は、明治42年(1909年)生まれで、この三兄弟のなかで、微生物科学研究会の会長となった著名な学者だが、その娘が、中央公害対策審議会の会長・和達清夫の息子と結婚したからである。和達は、明治35年(1902年)生まれで、のち、日本がつくりあげた満州国で大きな力を持ち、日本の気象台に相当する満州現地の中央観象台で所長をつとめ、戦後は、気象庁長官と、"原発に邁進する"日本学術会議会長を歴任した大物だった。

 チッソの創業者・野口遵からはじまる人間関係は、広大であった。野口は曽木電気という電力会社を設立したあと、余った電力を利用して日本窒素という肥料会社を設立した。すでにこの出発点から、化学と発電が同じ人間によって経営されていたことになる。そして野口は、日本がアジアを侵略する新興財閥として朝鮮半島に渡ると、1926年には水力発電をおこなう朝鮮水電を設立後、朝鮮窒素肥料を設立して、両者を合併した東洋一の電力化学コンビナートを建設したのである。

当時、この現場で野口コンツェルンに勤務していた人間の名前として、吉岡喜一、西田栄一、久保田豊、角田吉雄、朝香三郎、宗像英二の6人が記憶されなければならないだろう。
 吉岡と西田は、のちにそれぞれ水俣病大量発生時に、水俣工場の排水口から水銀の放流をとめなかった日本窒素の「社長」と「水俣工場長」として、最高裁で有罪が確定した。
 すでに登場したように、久保田豊と角田吉雄は、薬害エイズを放置した83年の厚生大臣・林義郎の身近な一族であり、特に久保田は、戦後も日本のアジア経済侵略の代表者として、アジア各国に膨大な借金をつくらせた人物でもあった。朝香三郎は、これもすでに述べたように、危機管理の第一人者・佐々淳行と、満州事変時に内務大臣として弾圧をおこなった安達謙蔵の身近な一族である。
 1931年に関東軍によって満州事変がひき起こされたあと、野口遵は 中国大陸北部へ進出し、満州の利権にも介入していったが、当時、満州国の商工次官をつとめて水力発電事業の責任者であった岸信介と折衝して、満州~朝鮮の共同水利開発の条約を締結することに成功した。このころ、満州の産業を支配していたのは、満州重工業の初代総裁となった鮎川義介であり、彼ら三人はライバルというより、互いに利権をあいだに置いて、協力的な関係にあった。
 しかも鮎川義介のごく近い一族が、のちに総理大臣となった岸信介当人である。しかし、さらに近い一族が東急電鉄の五島昇であり、この五島昇の親友が、はかならぬ「エイズ研究班班長」の安部英であった。あらゆることが、戦時中に仲間となった人間関係から生まれてきた。- - - 内務省特高警察を指揮していた正力松太郎と、東急電鉄創業者の五島慶太は、東京帝国大学法学部で同期であった。この五島慶太の息子が、五島昇である。

 この鮎川義介の義兄弟として、やはり満州・朝鮮の大きな利権を握っていた久原房之介が、日立製作所の創業者であった。三菱重工、東芝と並ぶ、今日の原子炉メーカー "御三家"のひとつである。鮎川義介、岸信介、久原房之介、正力松太郎たちが、いずれも戦後に戦犯として巣鴨刑務所に入獄した仲間であるのは、このような親しい関係では当然であった。また、彼らに比べて一世代あとのもうひとりの人物、中曽根康弘の場合は、鹿島建設会長・渥美健夫と子供同士が結婚しているが、渥美健夫の弟・渥美昭夫の義父・篠原三千郎が、東急電鉄社長として、五島慶太の大番頭であった。

朝鮮現地で野口コンツェルンの中に頭角を現わしたのが、チッソ社長の吉岡喜一らと共に働いていた前述の宗像英二であった。
 宗像は、戦後、財閥解体と共に日本窒素から分離した旭化成の重役に一度転じたあと、チッソの野口研究所で理事長として君臨したが、この時こそまさに、チッソの排水口から水銀が放流され続け、水俣病がすさまじい勢いで被害者を発生した時代にあった。その宗像が、やがて、68年には、別の世界でトップの座についた。日本原子力研究所(原研)の理事長となって、原子力時代を動かしはじめたのである。

 水俣病と大気汚染公害など、あらゆる影を背負って、その内部から原子力発電所が誕生してきた。また、その影を背負って、薬害エイズが誕生してきた。それが、岸信介、鮎川義介、久原房之介、武田長兵衛、宗像英二、五島昇、中曽根康弘へとつながる一族を中心として生み出されたものであったことが、系図から見事に浮かびあがってくる。
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引用終り(つづく)





佐藤祥司
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